ブログ「芋の気ままな生活」の管理者、芋が小説を置くためのブログです。コメントいただければ幸いです…。


by old-imo

カテゴリ:漏れなつ。( 2 )

ある夏の昼下がり。

これはある夏の日のことである。

今年で二年になる大島虎彦は今日も授業中に寝ていた。
むしろそれがデフォルトになっていて誰も不思議には思わなかった。

「…大島。おい、大島。」
「うぅ………ん?」
周囲からの視線が虎彦に集まる。状況を理解して虎彦は少し苦笑いしてから
「き…昨日寝るのがちょっと遅くなっちゃって…」
「いつものことだろうが」
先生のきつい突っ込みが入り小さくなる虎彦。
そのやり取りを見たクラスメイトの一人が笑い、そして次々に笑いを堪えられなく
なった生徒たちが笑う。

窓の下に見える学校のプールには一年生が水泳授業をやっている。バシャバシャと
水をかきわけている音が虎彦のいる教室にまで届いていた。よく見ればその中に峻も
いるようだった。

―――夢で見たあいつの姿。久しぶりにあいつの夢を見たような気がする。
もう顔を合わせなくなってからしばらく経つが、連絡は無い。そろそろ夏休みに入るし
連絡してみようか?―――

そんなことを考えながらぼんやりと太陽が照りつけるプールサイドを眺めていた。
少し視線を上にずらすと目を背けたくなるほど強い光を放つ太陽と、雲一つないまさに
「晴天」という言葉がぴったりの青々とした空が広がっている。

ふぅ、と姿勢を直し授業が始まってから一度も開いていないノートを開き、ペンを取り出した。黒板に文字を書く音が響く教室で虎彦は適当に板書を取っていた。

頬杖をついて窓から空を見つめながら虎彦はこう呟いた。

「あいつ、元気にしてるかな…」
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by old-imo | 2011-04-06 01:11 | 漏れなつ。

漏れなつ。プロローグ

それはある夏の出来事だった。

漏れは毎年のごとく自室のベッドの上で毎日寝て過ごしていた。
というのも漏れは特にこれと言った趣味を持っているわけでなく、学校のクラブなどにも参加していないだけあって毎日が暇なのだ。
「暇だなあ…」

そんな退屈な毎日を過ごしていたある日、手紙が届いた。
こんな時代に手紙だなんて相当アナログだな…。
その手紙には読めるか読めないかギリギリの汚い字でこう書かれていた。
「よお、元気か。俺はあいかわらずだ。みんなもお前にあいたがってるぞ。たまには帰ってこいよ。まってるぜ。」
一瞬幼稚園児の書いた手紙かと間違いそうになる内容だが、相手はれっきとした高校2年である。
「にしても、字へたすぎだろ…。それにもっと他に書くこともあるだろうに。…でもアイツらしいや。」
漏れは少しの間考えた。少しと言ってもほんの一瞬だが、漏れの「故郷」についてである。
「…帰ってみようかな。」
気がつけばバスの中にいた、と言っても過言ではないだろう。それくらい早く決断した漏れは手紙をベッドの上に放り出し、身支度をして親に帰郷する旨を伝え、さっさと家を飛び出していた。

肌寒い程冷房の利いたバスの窓から見える風景はまだ都会の雰囲気がある街並みが続いていたが、しばらくすると周りはほとんど山だけになってしまった。
「うう、それにしても寒いな。なんで田舎の乗り物は冷房をキンキンにかけるんだろう…」
しかし、凍えてしまいそうなくらいな体温とは裏腹に漏れの心の奥底は熱く高鳴っていた。
「みんな元気かな。話ではみんな同じ学校に進学したって聞いたけど、会いに行こうなんて全然思いつかなかったな…」
もっと早く帰ってこればよかったな、と少し後悔していた時、バスは目的地にまもなく到着する合図を告げた。
「まもなく、水郷村、水郷村。お降りの方はお近くの停車ボタンを押してください。」

…後1分、いや、数十秒で故郷に帰れる。
嬉しいようなウキウキするような、しかしなんだか恥ずかしいような気分がいろいろと混ざった変な気分だ。

--------早く。早く。もう待てないよ・・・------------------

第1章に続く。
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by old-imo | 2010-09-18 21:48 | 漏れなつ。