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ブログ「芋の気ままな生活」の管理者、芋が小説を置くためのブログです。コメントいただければ幸いです…。


by old-imo

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希望

Hope11
私たちは店を出て、なるべくゾンビに出くわさないような道を選びながら慎重に街を脱出しようとしていた。そんな中、私たちの上空を5機ほどのヘリが通り過ぎていった。
「あ!救助に来てくれたんだわ!みんな、ヘリのほうへ向かいましょう!」
ジェニーが言った。
小走りでヘリを追いかけているとヘリは"あるビル"に着陸した。そう、私たちが逃げてきたあのビルだ。
「げっ。なんて不運なんだよ。あのビルには怪物がいるってのに。」
「わかってないんじゃないかしら。あのビルに研究施設があるなんて誰も知らないでしょう。」
あんな怪物がいるのに地下に研究施設が無いなんておかしい。私だってそのくらいは予想できるわ。
「どうする?あそこに行けば逃げられるかも知れないけど、怪物がいるのよ?」
「うーん、そうだな。とりあえず行ってみよう。俺たちはさっきと違って武器を持ってるんだ。大丈夫だ。」
カインはやっぱり男ね。こういうときに頼もしい。
「へへっ、そうか?」
…こういうところがまだ子供ね。
そんな感じで話しながら歩いているとついにあのビルの前に到着した。ガラス張りのビルはところどころ割れていて、一階はすべて割れていた。私たちはハンドガンを構えて、ビルの中へ進入した。
ビルの中はさっきとさほど変わっておらず、あの怪物もどこかへ行ったようだ。
一階を捜索することにした私たちは、あの怪物に出くわすこともなく、その代わりあるものを発見した。
「…これってなんの注射かしら…?」
それは"Antiviral drug Tipe -T-"と記されていた。抗ウイルス剤なのかしら。
一階にあった一部屋を捜索したあと、私たちは屋上に向かうことにした。
「とりあえず、屋上に向かいましょう。」
私が言った。カインとジェニーは同時に頷くと、階段を駆け足で上り始めた。しばらく上り続けたら、一階は既にかなり遠くなっていた。今は30階くらいだろうか。
「二人ともあともうちょっとよ。がんばって!」
ジェニーが言った。あの子は女の子のわりに体力があるわね…。カインと私が息を切らしながら上っているのにあの子はぜんぜん息を切らしていない。
ついに屋上のすぐそこまで差し掛かると、急に地響きがした。
「何?!」
地響きは下のほうからしたようだ。何があったんだろう。私たちは何があったのか気になったがそれまで通り階段を上り始めた。そして、屋上にたどり着いたときに私たちは目を疑う光景を目にした。
「…アレックス…?」
そう、アレックスがヘリの前に立っているのだ。しかし、服装は前と変わっており、黒いマントらしきものを羽織っている。
「アレックス?どうしてアレックスがここに?助かったの?」
私はアレックスに質問攻めをした。しかしアレックスは答えることなく、小さく鼻で笑い、喋り始めた。
「おまえら、俺がこんな格好してなんでここにいるのかよく考えてみろよ。」
「…どういう意味?」
「ふっ…。本当に鈍いな。そんなんだからハンターに襲われるんだぜ?」
「あなたまさか…」
「そうだ。俺は"傘"の一員だ。偶然お前らと会ってびっくりしたがいい機会だ。利用してやろうと思ったんだよ。あんなくらいのゾンビだったら俺一人で十分だ。脱出なんて難しくないんだよ。さぁ、なぜ俺がまたここに戻ってきたかわかるか?」
「…?」
私は意味がわからなかった。するとカインが口を開いた。
「…口封じのためだろ…?」
アレックスはカインのほうを見てからまた鼻で笑い、こう言った。
「あぁそうだ小僧。お前は察しがいいな。生きてたら傘に入れてやろう。」
「誰が入るかっ!」
「そう大声を出すなよ。どうせお前らは今から死ぬんだからゆっくり話そうぜ?」
「黙れ!」
「はぁー…。分からないやつはダメだなぁ。じゃあさっさと死んでくれ。」
アレックスはそういうとヘリに乗り込んだ。
「それじゃあな。さっさとあいつに殺してもらえ。早く楽になったほうがいいだろう。」
そういい残してアレックスは去っていった。
「あいつって…なんだ?」
カインは首をかしげながらヘリを見つめていた。すると私たちが来たところからジョンが助けてくれたときと同じ…いや一回り大きい怪物が出てきた。
「っ?!」
私たちは武器を構えると一斉に撃ち始めた。だがその怪物は怯みもせず、ずんずん進んでくる。私たちはそいつと戦った末ついに武器の弾が切れてしまった。残っているのはハンドガンだけで、これでどうにかできる相手ではないのは全員が分かっていた。そこでジェニーがあるものを発見した。
「…あれ使えるんじゃないかしら…?」
ジェニーがそういって、ポケットから取り出したのはさっき一階で拾ったあの抗ウイルス剤だった。この注射を打ち込めば倒せるかも知れない。そう思ったのだろう。私もそう思った。
「そうね。そうしましょう。カイン、私たちが気をそらしておくからあなたはこの注射をあいつに打ってこれる?」
「あぁ、やってみる。」
カインはそういって抗ウイルス剤を私から受け取るとあいつの裏に回りこんだ。あいつの動きはとても緩慢でゆっくりと歩いてくるため、注射を打つのもそう難しくはないだろう。私とジェニーはカインとアイコンタクトをとりながらあいつの気をそらした。そして…。

ブシュッ

カインがあいつの体に抗ウイルス剤を打ち込んだ。だが、あいつにはかゆくも無いというようにまったく効いていない。
「くっ…」
するとジェニーはこんなことを言い出した。
「そういえば、あの注射に『この薬はG-virusと併用すると危険です。G-virusとの併用はやめてください。』って書いてあったような気がする…。」
この子は記憶力がいいようだ。だがしかし、今私たちは「G-ウイルス」と呼ばれるウイルスを持っていない。どうしようかと考えているとカインが叫んだ。
「さっきのあの部屋にあるんじゃないか!?」
そうか!さっきのあの部屋にこの薬はあったんだ。G-ウイルスもあるはずだ。
「私が行って来るわ…っ!」
ジェニーが言った。
「頼んでいいかしら?」
「えぇ、走るのは得意だしね。」
ジェニーはそう言うと屋上のドアを開けて階段を下りていった。
私とカインだけで戦うのは正直とてもつらかった。相手は3メートルあるくらいの巨大な体をしているので当然手のリーチも長いため、攻撃をよけるので精一杯だった。カインと私で悪戦苦闘しているとドアが開いた。
「ジェニー!」
ジェニーが戻ってきたのだ。手には「G-virus」のラベルが貼られた注射がしっかりと握られていた。
「カイン!これを!」
私はカインに注射を投げた。カインはそれをキャッチするとすぐにあいつに打ち込んだ。するとあいつはとても低いうなり声をあげて、地面に崩れ落ちた。
「…やったわね…」
「あぁ…」
「………」
しばらくのあいだ沈黙が流れていたが、ジェニーがハッとしたように口を開いた。
「そうだ、ケイト!」
「何?」
「レオンが生きていたの!」
「えっ!?」
カインと私は耳を疑った。レオンが生きてる!?
「ど…どうして?」
「私がウイルスを取りに行った時にレオンがウイルスを渡してくれたの。そして、そのあとどうなったかは…」
ギギギギギ…
ジェニーが話していると鉄製の錆びたドアが開いた。私たちは一斉にそっちを見た。
「よぅ。」
「レオン!」
レオンが生きていたのだ。レオンは私たちのところへ来るとこういった。
「すまなかったな。あの時は死ぬ覚悟だったんだが、奇跡的に助かったんだ。危なかったけどな。」
「で…傷は?」
「あぁ、スプレーで何とかなると思ってさ。何とかなったよ。それより、早くここから脱出しないとまずいぜ。」
「そうね。早く脱出しましょう。ヘリは…」
「俺が無線で呼んでおいた。もうすぐ到着する。」
レオンがそういうと遠くのほうからヘリの音が近づいてきた。そして、救助された私たちは安全なところへ避難したのだった。




その後、私は記者をやめて、レオンと同じエージェントになった。カインも私と同じエージェント事務所に勤めている。ジェニーはカインと結婚して主婦をしているという。もう二度とこんなことにならないように、私たちは傘を完全に潰さなければならない。あのバイオハザードの当事者として、アレックスと関わった人間として…。

Hope11 「希望」END
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by old-imo | 2009-07-25 11:42 | 希望